北海道大学 医学研究院・医学部神経生理学教室Systems Neuroscience Laboratory

時間知覚の脳内機構

数百ミリ秒から数秒の時間の情報は、日常生活の様々な場面で必要となります。信号待ちをしているとき、バットを振るとき、音楽のリズムを感じているとき、私たちは無意識のうちに時間を測っています。触覚や視覚、聴覚などと異なり、時間を測ることに特化した受容器は存在しないため、時間知覚は純粋に脳内でつくられる感覚です。当研究室ではこれまで、時間情報を必要とする様々な行動課題をサルに訓練し、小脳、線条体、視床、前頭葉などの神経活動を解析してきました。例えば、右の図は周期的に現れる視覚刺激の不意の欠落を報告するように訓練したサルの小脳ニューロンの活動です。刺激が「無い」ことを検出するためには、次の刺激が出るタイミングを正確に予測しておく必要があります。小脳の一部のニューロンは、繰り返される刺激の周期に活動を引き込ませ、刺激のタイミングに合わせて活動がピークとなることが明らかとなっています。

関連業績

  • Okada KI et al. (2022) Nat Commun
  • Matsuyama K, Tanaka M (2021) J Neurosci
  • Kameda M et al. (2019) eLife
  • Kunimatsu J et al. (2018) eLife
  • Ohmae S et al. (2013) J Neurosci