北海道大学 医学研究院・医学部神経生理学教室Systems Neuroscience Laboratory

概要

ごあいさつ

神経生理学教室のホームページにご来訪いただき、ありがとうございます。生理学は生体が機能するしくみ(メカニズム)を明らかにする学問です。私たちの教室ではその中でも脳機能の理解を目指して研究を行うとともに、医学院・医学科を中心に神経科学分野の教育を担当しています。

医学部における基礎研究の主な目的は生物としてのヒトを理解することです。このため、当教室ではヒトと近い脳をもつサルに様々な心理実験課題を行わせ、その際に脳各部で処理される情報を神経細胞のレベルで調べています。また、脳局所への電気・光刺激や薬物投与などにより、ニューロンがもつ信号の生成に神経回路や機能分子がどのように関与し、さらにそれらの信号が知覚や行動の制御にどう使われているのか解析を行っています。具体的には、状況に応じて行動を適応させる脳の機能、時間経過やリズムを知覚する機能、短期記憶とそれを更新する脳機能などについて、前頭葉皮質や小脳、大脳基底核などの役割を探っています。

このように丸ごとの脳を情報システムとしてとらえ、その動作原理を明らかにすることは、私たちの心のメカニズムを科学的に理解するだけでなく、脳の一部の損傷や細胞分子の異常によって生じる精神・神経疾患の病態を解明することにつながります。また、脳の情報を取り出して利用する医用工学や、脳深部刺激などの新たな治療法の開発のための基礎的なデータを提供することができると期待されます。

当教室は1922年(大正11年)に開講した生理学第二講座から五代にわたって引き継がれ、2022年(令和4年)には100周年を迎えました。その間、国内外で活躍する多くの神経生理学者を輩出してきました。私がこの教室を主宰するようになってすでに十数年が経過し、任期も後半に入りました。今後も新しい考え方と様々なバックグラウンドをもった人材を積極的に迎え入れ、システム神経科学の独創的な研究成果を世界に発信し続けるとともに、国内外で活躍する次世代の研究者を育てていきたいと考えています。今後ともご理解とご支援をお願いいたしますとともに、脳機能のメカニズムに関心をもつ様々な分野の方が私たちの教室を訪れて下さることを心より願っています。

教室沿革

1922年(大正11年)生理学第二講座開講(初代教授 朴沢 進 就任)
1955年(昭和30年)二代教授 藤森聞一 就任
1974年(昭和49年)三代教授 加藤正道 就任
1996年(平成 8 年)四代教授 福島菊郎 就任
1998年(平成10年)大学院重点化により、統合生理学講座認知行動学分野に改称
2007年(平成19年)改組により、講座名が生理学講座になる
2010年(平成22年)五代教授 田中真樹 就任
2012年(平成24年)神経生理学分野に改称